チャージバック増加による限界とは
ここ数年のチャージバック急増によって、クレジットカード不正利用対策にかかる環境はガラッと変わってきています。アクルでは、たとえば「チャージバック保証サービス」を設立当初より提供をしているものの、それ自体は根本的な解決にはなり得なくなってきています。
自動車保険でも同じですが、毎月事故を起こされては、お互いにとってハッピーではないですし、そもそも保険設計が不可能になるのと同じです。しかし、重要なのは、何故事故が起きてしまったのか?どうしたら事故が減らせるのか?といった予防対策であって、それこそが根本的な解決へとつながっていくのです。
それでも保証が欲しい!
昨今の状況を受けて、アクルへもたくさんのご相談が来ますが、入口は「まず保証が欲しい」が大半です。もちろん、被害内容や状況によっては保証が最終的なセーフティネットとして、約に立つ場合もあります。保証によって、起こり得る被害金額を限定できれば、安心して本業に勤しむこともできるでしょう。
ただし、そこには加盟店側に、「セキュリティ投資」という意識がないと全く無意味なものになってしまいます。
「勝ち負け」では判断できない
クレジットカードの不正利用対策を提案すると、かならず「勝ち負け」といった概念で判断する担当者を往々にして見かけます。
直近1年間の被害金額はいくら、今後の月額の不正対策費用は年間に換算するといくら、直近の被害金額のほうが「少ない/多い」ので、「負けている/勝っている」といった議論です。負けていれば無理して対策はしないといった加盟店が、実は非常に多いのです。
ただし、「勝ち負け」といった判断によって、カード不正対策を簡単に片づけることは、非常に危険です。それほど、チャージバックなどの不正被害は深刻であり、特に日本はセキュリティホールとして、昨今、海外の不正利用者に狙われている傾向があります。
「セキュリティ投資」に対する認識
広告などのマーケティング費用には、莫大な予算をつぎ込む一方で、特に日本では、守りの側であるセキュリティ対策についてお金を使う企業はまだまだ少ないと感じています。
一方で海外の企業はどうでしょうか?年間のチャージバック被害金額がおよそ日本の10倍近くある米国では、「セキュリティ投資」といったものを積極的に行っている企業が増えていると感じます。それは被害金額が日本に比して、相対的に大きいといったこともあるでしょう。しかし、果たしてそれだけなのでしょうか?
筆者の経験ですが、たとえば90年後半から2000年初めごろの、いわゆるIT普及期に、日本企業の情報投資に関する意識は、欧米のそれに比べだいぶ遅れていた印象があります。未だに日本は、一人当たりの生産性が低いと揶揄されていますが、合理的な経営ができていないことの裏返しではないかと推測しています。
つまり、現在の「セキュリティ投資」への認識も、当時の情報投資のそれと、非常に似通った状況であると考えられるのです。
不正を防げている会社の特徴と「セキュリティ投資」への予算化
不正をしっかり防げている加盟店はどのような運用をしているのでしょうか?たとえば海外の例でいいますと、しっかりと「セキュリティ対策」としての年間予算を組んでいるところが多いと考えています。
海外のセキュリティイベントなどには積極的に企業担当者が足を運び、課題についてのディスカッションや、またフォーラムなどでも積極的に発言する姿が見られます。
海外の企業がシステム投資など、合理的な運用にシフトしつつある一方で、日本では人による目検チェックなど、非効率的な運用を行っている企業がまだまだ多いと感じます。
そこには、危機感もさることながら、明確な意味での「セキュリティ投資」というものが、できていないからです。
チャージバックなどのクレジットカード不正被害にあった加盟店は、少しでもその意識改革から始め、まずはしっかりと年間予算に落とすといった運用が必要なのではないでしょうか。
アクルでは、様々なクレジットカード不正対策ソリューションの体系的なご提案が可能です。是非ご相談いただけますと幸いです。