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不正検知システム提供から見るカード不正利用 2020年総括

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最終更新日

2020年、コロナ感染拡大の影響を大きく受けたEC業界ですが、クレジットカードの不正利用の傾向にも非常に大きな変化がありました。年間を通して、カード不正利用の特徴や傾向、変化についてご紹介します。

2020年、カード不正利用のキーワードは以下の2つです。

■カード不正利用の特徴

 2020年の大きな傾向と特徴として、以下の3つのポイントが挙げられます。

  1. アパレル・コスメ・家電商材に対する不正の集中
  2. 3-Dセキュア導入加盟店からのご相談増加

コロナ感染拡大の影響も大きく受けました。それぞれ、詳しく以下に解説をしていきます。

■特徴1:アパレル・コスメ・家電商材に対する不正の集中

2020年の特に4月以降、アパレル・コスメ・家電商材を取り扱うECサイトへの不正、チャージバックが集中しました。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、不正購入した旅行商材を転売しにくくなりました。この動きをきっかけに、旅行業界にいた犯罪者がアパレル・コスメ・家電商材にターゲットをシフトしています。

2019年までクレジットカードの不正利用の増加傾向が顕著に見られた商材は旅行商材でした。航空券や宿泊、パッケージツアーの決済での不正が非常に多く、各社各様に課題視されていました。その被害規模は、2020年に入り宿泊商材が「高リスク商材」に新たに認定され、追加の不正対策を義務付けられるほどでしたが、コロナ感染拡大の影響により犯罪者は換金の機会を失ったのです。

コロナ感染拡大により国内外での渡航制限の影響などにより、旅行商材も転売の機会が大きく減少し、カードの不正利用が出るケースは非常に少なくなりました。

その様な背景の中、そこにいた不正利用者が次に狙いを定めたのが、転売しやすいアパレルやコスメの業界です。2020年の4月以降、弊社のカード不正対策ソリューション、ASUKAの導入事例においても、アパレルやコスメのECサイトが急増しました。

アパレル・コスメのECではこれまでもカード不正利用はありましたが、過去にも増して集中的に狙われてしまう傾向が顕著でした。

■特徴2:3-Dセキュア導入加盟店の不正増加

2020年に弊社のソリューションを導入してくださったECサイトの半数近くが、3-Dセキュアを実装していました。こうした加盟店が追加での不正対策を求められるのはどういった理由からでしょうか。

3-Dセキュア導入加盟店ほど、犯罪者から見ると不正購入しやすいサイトであるためです。3-Dセキュアを導入していると、追加の本人認証が求められ、不正利用が発生した際の債務責任がカード発行会社側に委ねられるため、ECサイト側から見ると非常に有力なセキュリティツールだと認識されています。

しかし、本人認証パスワードにより不正が完全に止められているとは限りません。大きなセキュリティの穴が2つあります。

1点目は、3-Dセキュア導入により、カード会社が不正利用の被害を補填するため、加盟店側で一体どれだけ不正利用者が来ているのか見えないためです。不正利用の債務責任がカード会社に移るため、加盟店側に不正の発生が認識されにくい構造となっているのです。加盟店が知らないだけで、不正利用者の巣窟となっている可能性があるのです。

2点目は、3-Dセキュア未登録カードによる決済では、本人認証パスワードが求められることなく、決済完了するためです。パスワード未登録のクレジットカードでの決済の場合、パスワード登録画面がスキップされて決済完了にまで至る方式が採用されるケースが過半数です。

要するに不正利用者が入力した第三者のクレジットカードに3-Dセキュアのパスワード登録がされていないと、追加パスワードすら求められず、決済を完了できてしまうのです。

なお、3-Dセキュアの普及率はカード発行会社により前後はありますが、おおむね15-20%くらいと言われています。確率的には、異なるカード番号の不正決済が5件存在した場合、1件にした本人認証パスワードが必要とされない計算になります。

この2つの理由から、不正利用者から集中的に狙われたことをきっかけに、カード会社・決済代行会社から追加での対策を求められ弊社サービスについてご相談を頂く、という流れが非常に多くなってきました。

割賦販売法の改正により、カード会社は加盟店管理を強化することが義務付けられました。不正利用の発生が一定水準を超えた加盟店に対しては、指導し管理を強化することが求められます。

継続的な特徴:手口のさらなる巧妙化

様々なECサイト様から不正利用の被害やその手口についてお話をお聞きします。2020年の不正利用の手口はこれまでにも増して巧妙なものになってきており、受注情報を目で見ただけでは識別しにくい事例も非常に増えてきています。

細かい手口の詳細はここではお話できませんが、システムでのスクリーニング経ることで、不正な取引は明確な足跡を残してゆきます。その足跡から敵の姿をしっかり把握し、適切な対策を講じていくことが重要であり、このような被害や手口を情報共有することも重要になります。

2021年の動向予測

2021年は、3-Dセキュア2.0の提供開始と同時に、これまでとの比較で普及が徐々に進むと考えています。現行バージョンと比較し、2.0では利便性への影響が少ないため、加盟店側の導入ハードルが下がったと言えます。加えて、現行バージョンである3-Dセキュア1.0がサポートされなくなることも重要で、カード決済業界の各社がその動向を注視しています。不正利用が発生しても債務責任がカード会社ではなく加盟店側への転換(ライアビリティシフト)が予定されています。

しかし、この3-Dセキュア2.0の導入や普及によって、カード業界における不正が圧倒的に減少することはない、とも言われています。(カード会社や決済代行会社談による。)情報漏洩したカード情報を原資に利益が出れば良いので、あの手この手でセキュリティの甘いECサイトを探し、狙ってきます。

第三者カードの不正利用以外に、よりセキュリティが甘く、検挙されにくく、一度に大きな利益を確保できるターゲットが見つかればそちらに流出していくかもしれませんが、当然そのようなものはありません。EC業界のカード加盟店、決済代行会社、カード会社や弊社のようなセキュリティサービスベンダーが一体となり、国際水準のセキュリティレベルを目指して行く必要があります。


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