参照画像:TED-Ed シーシュポスの神話 – アレックス・ジェンドラー
シーシュポスの神話とチャージバック
学生時代に、哲学系の書籍を読み漁った時期がありました。その中で、「シーシュポスの神話」というものがあります。
ある罰により神々がシーシュポスに休みなく岩を山頂まで運ぶよう命じるものですが、山頂に運び終えた瞬間に岩はその重さ自体によって転げ落ちます。
そして何度も繰り返し運び続けますが、結局転げ落ちてしまうのです。
「シーシュポスの神話」は、アルベール・カミュの代表的な作品の一つですが、本作品では、人間はいずれ死ぬのにそれでも生き続ける姿の不条理性をうたっています。
全体的な話の内容は別として、この不条理性、何かクレジットカードのチャージバックに通じるものがありませんか?
参考ブログ:チャージバックとは?
それでもクレジットカードを利用し続ける
クレジットカードは、今やなくてはならない決済手段となっています。国際カードブランドと呼ばれるVISAやMasterといったグローバルに張り巡らされたネットワークを使って、どこの国でも決済できる共通手段になっています。
対面では現金決済もありますが、非対面(オンライン)で商売を始めるなら、クレジットカードは絶対に外せない決済手段の一つです。
ところが、近年「チャージバック」という得体のしれない事象がカード加盟店を悩ませています。
手数料を支払ってカード決済の仕組みを導入・利用しているのに、なぜか売上げを取り消される - そんなことがあるのか、と。
これはサービス提供者であるクレジットカード会社側が負担すべきものなのではないのか?とECサイトを運営する加盟店からすると、なんとも腑に落ちないわけです。
でもそれでもクレジットカード決済を利用し続けるのです。
この不条理は何なのか - 頭では理解しているものの、ふたたび使い続けるのです。
(参照:TED-Ed シーシュポスの神話 – アレックス・ジェンドラー)
そしてチャージバックは再び起こる
チャージバックが起こると、この何とも言えない怒りにさいなまれます。何故か売上が取り消され、物販商材であれば、物だけ取られてしまう。この怒りをどうすればいいのか。
ところがいつしかその怒りも忘れるのです。「今回はたまたま起こったのだろう」「あれからしばらく起きていないから大丈夫だろう」「それより売上を伸ばそう」と、結局何も対策をせずに、販売を続けるわけです。
チャージバックの傾向として、「一度狙われると絶対にまた狙われる」というのがあります。これは、5日後かもしれないし、半年後かもしれません。不正利用者は必ず帰ってきます。
そして、再度アタックされてしまいます。ただ、ここでも「年間被害は、そこまでではない」「売上でカバーできる範囲」「また、たまたまやられた」と薄々チャージバックはこれからも起こる、と思いながらも何も対策をせず、販売を継続します。
チャージバック自体の不条理を受け入れてしまっているのです。これは「シーシュポスの神話」と同じであり、“シーシュポス”そのものなのです。
「シーシュポスの神話」に欠けていたものと「チャージバック」という不条理
「シーシュポスの神話」では、シーシュポスが転げ落ちた岩を何度も運びます。運び続けるのです。
しかし、そこには「どうしたら岩が転げ落ちないか」といった視点が欠けています。
もちろん転がり落ちるのはわかっているわけです。重力がある限りそれは避けられません。
不条理を受け入れることも大事ではありますが、不条理を受け入れつつも、どうすれば岩を止めそのスパイラルから脱することができるか。この視点が欠けてしまうことが少なくありません。
これは、クレジットカードのチャージバックにも同じことが言えます。今や不正利用者を100%止めることは不可能です。それだけ不正利用者も組織化され、裏の経済圏が出来上がってしまっているからです。手を変え品を変えアタックをかけてきます。
また、クレジットカードのオンライン決済におけるインフラが根本的に変わらない限り、チャージバックは100%は無くならないでしょう。元来、対面用に設計されたクレジットカードですが、急速に伸びたオンラインなどの非対面取引に対応できなまま、急成長を遂げてしまったのです。これはクレジットカードの決済処理における仕組みそのものの大きな課題です。
しかし、それでも多くのカード加盟店が、クレジットカードを利用し、チャージバックを享受し続けるのです。文句を言いながらも、結局利用し続けるのです。
「チャージバック」という不条理から抜け出すには
チャージバック、クレジットカードの仕組みという不条理を受け入れつつも、その根源である不正利用者をいかに排除するか、寄り付かなくさせるか。
この観点が見落とされがちであり、非常に重要なポイントです。
いまや不正利用者をピンポントで100%止めることは不可能です。いかに不正利用者を抑止し「不正をするなら他の場所に行ってもらうか」というのも非常に重要です。
実は未だに岩を運び続けている“シーシュポス”は多いのです。是非この不条理から抜け出すために伴走させて頂くため、アクルにご相談いただけますと幸いです。
アクルでは、その不条理に対する怒りのエネルギーをより合理的且つ現実的な形で抑えていきます。
そのためのソリューションや知見、事例も豊富です。是非ご活用、ご参考いただければ幸いです。
現代のクレジットカード決済に悩める“シーシュポス”をできるだけ無くす、それが当社の役割であり使命だと考えています。
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