新型コロナウィルスによる影響
2020年に入り、新型コロナウィルス感染症が世界的に猛威を振るっており、2019年からのカード不正利用・チャージバックの傾向にも少なからず影響が出てきています。当社が仮説立てしていたシナリオも踏まえ、現在のカード不正利用の被害状況について共有させていただきます。
影響を受けるビジネス領域とは
新型コロナウィルス感染症の影響により世界的な経済へのマイナス影響は免れませんが、特に打撃が深刻なビジネス領域は何があるでしょうか。
- 観光業(オンライン・オフライン問わず)
- 航空・宿泊業界、旅行関連商材を扱うビジネス
- 運輸関連
- 人が密集するイベント系ビジネス
- 飲食業界
- 広告業界
- スポーツジム 他…
もっとあるかもしれませんが、思いつくものをざっと列挙しています。
一方で新型コロナウィルス感染症により一時的に特需のような影響が出ているビジネスとはなんでしょうか?
- 在宅ワークなどに紐づくビジネス(ビジネスチャットなどのクラウドサービス)
- Eコマース全般(一部ネガティブな影響を受ける業種を除き)
- ドラッグストア
- 食品など生活雑貨(一時的な買いだめによる一時的なプラス消費)
他…
まだまだあるかもですが、Eコマース自体は巣籠消費系のビジネスとして間違いなくプラスの影響が出ていると考えます。
不正利用者の動向にも変化が
新型コロナウィルス感染症により様々な形で影響を受けるビジネスがありますが、同様に不正利用者にも影響を与えています。それはなぜでしょうか?
それはカード不正利用も今や“ビジネス”になっているからです。チンピラや半グレと言われる個人が一人でやっているわけではなく、犯罪集団化しているのが昨今の傾向です。
彼らは他人のカード番号を1枚あたり数ドルで闇サイトから仕入れ、不正に購入・転売を繰り返すわけですが、粗利が取れて転売しやすい商材に集中するのは今も昔も変わりません。
ターゲットとなるビジネスが動いていないと粗利も取れず、転売もできないわけで、おのずと業界や商材の景気動向に彼らも左右されるわけです。
つまり今回の影響で、不正利用者もより現実的な目線でより粗利が取れるセクターにターゲットを移している傾向があるのはあながち間違いではないしょう。
また、全体的には巣籠消費の増加の影響でEコマースがより好調である限りは、不正利用者にとってもその活動ボリュームはむしろ増えているのではないかとも考えています。
不正利用者に業種は関係ない
2019年は航空券チケットやホテルなど宿泊施設での不正利用が爆発した年でした。一方、現状この領域におけるビジネスボリュームは比較的、静かになっています。
一方でアパレルやコスメなどのファッション雑貨は、チャージバックの件数・金額が依然多い領域ですが、2019年に引き続き2020年に入っても増加傾向は変わりません。
上記に関連し、非常に興味深い、わかりやすい現象をアクルでは捉えています。
2019年に航空券・宿泊など旅行商材におけるチャージバックデータにある不正利用者が、最近アパレルなどのファッション雑貨のトランザクションに散見され始めているからです。
実はアクルで当初仮説立てをして、そうなるだろうと予想はしていたのですが、まさに現実となってデータに表れてきた形です。
つまり、インバウンド需要が減少した今、旅行商材では不正利用者も“ビジネス”にはならないのです。
非常にシンプルですが、彼らは粗利が取れて、より転売できる商材、ターゲットに移動してきています。業種など関係ないのです。
また比較的まとまった犯罪集団が、今日本で起きているカード不正利用に関わっていると改めて認識、実感することもできます。
いずれにせよ、旅行商材に群がっていた不正利用者が、特にアパレルやコスメ、家電などの領域に多数流れてきているのは間違いありません。
今の時期に取り得る最大の不正対策とは
新型コロナウィルスの影響がいつまで続くかはわかりませんが、いずれ収まる時期が必ず来るはずです。
その時に、たとえば旅行商材は間違いなくリバウンドしてきます。またその時に不正利用者もその波に乗り戻ってくるでしょう。
東京オリンピックも延期になりましたが、来年以降また盛り上りが来れば、不正利用者も多数その渦に紛れてきます。
つまり、今この時期だから不正対策について手を抜いていい、何もしなくていい、といった議論は成り立たないわけです。
大事なのは、いつターゲットにされても構わないレベルでの運用対策を少しでも早い段階から準備、整えておくことです。
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