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売上を落とさない3Dセキュア パターン2運用 ― カゴ落ちを防ぐ現実的な認証戦略

公開日

ECの世界では「不正対策」と「売上最大化」はしばしばトレードオフの関係にあります。 特に、本人認証を強化する3-Dセキュア(3DS)の導入によって、安全性は高まる一方でカゴ落ちが増加し、売上が下がるという声も少なくありません。 しかし、すべての取引で認証を行う必要は本当にあるのでしょうか? 実は、**3-Dセキュア パターン2(初回のみ認証)**を正しく設計・運用することで、 不正防止と購入体験の両立――つまり「安全に売上を守る」ことが可能になります。 本記事では、パターン2の基本構造から実際の運用設計、そして実顧客化率を高めるための決済最適化の考え方までを、わかりやすく解説します。

マーケティング投資を無駄にしない、“実顧客化”のための決済最終ステージ最適化


1. はじめに:集客しても、決済で逃げられては意味がない

広告・SEO・CRMなどで見込み顧客を集めても、最後の「購入確定」の瞬間に離脱されてしまえば、売上にはつながりません。
多くの企業ではマーケティングを「購入意思の獲得」までと捉えがちですが、実際には決済が完了して初めて“実顧客化”が成立するといえます。
つまり、ファネルの最終段階――「購入ボタンを押してから支払いが完了するまで」――を最適化できていなければ、どれほど集客しても成果は半減してしまうのです。

※アクルが提唱するマーケティングファネル「実顧客化」についてはこちら:
https://akuru-inc.com/knowledge/akuru-s-marketing-funnel-2025-10-08/


2. 3Dセキュアの“正しすぎる運用”が生むカゴ落ち

不正利用防止のための3Dセキュア(3DS)は、安全性を高める反面、ユーザー体験に大きな影響を与えます。
しかし「すべての取引で本人認証を行う」パターン3を採用すると、スマホユーザーのUXに摩擦が生まれ、離脱の原因になることがあります。

例えば、以下のようなケースです:

  • SMS遅延やワンタイムコード入力ミス
  • 認証時にカード会社アプリへ切り替わり、画面遷移や操作負担
  • スマホ画面の離脱やエラー(認証後にECサイトへ戻れず、カートが消える)

このように、小さな摩擦が購入直前の離脱(=カゴ落ち)を引き起こします。

ユーザーの視点では「買い物中に突然別アプリへ飛ばされた」「認証後に戻れず注文が完了しない」といった体験になりやすく、これがカゴ落ちの直接的な要因となっています。
その結果、マーケティング費用を投下して集客しても、決済認証の段階で“顧客化”が途切れてしまえば、ROIは回収できません。


3. パターン2が“売上につながる決済体験”を支える理由

そこで注目されているのが、3Dセキュア パターン2です。
これは初回利用時のみ本人認証を行い、以降は登録済みカードとしてスムーズに決済できる運用方式です。

この仕組みにより、認証の都度発生する煩雑さを減らし、ユーザーの購入体験を阻害せず、不正防止も維持できます。

この方式を採用することで、以下のような効果が期待できます:

  • 購入完了率の向上:離脱が減り、決済通過率が改善
  • UX(顧客体験)の向上:集客したユーザーを確実に売上へつなげる
  • マーケティングROIの改善:獲得した顧客の“最後の一歩”を逃さない

つまり、3Dセキュア パターン2は、不正対策とビジネス成果を両立させる現実的なアプローチであり、売上拡大を支える決済UXの最適化として、注目されています。


4. 初回突破と“お留守化”を防ぐ運用設計

もちろん、利便性だけを優先すれば不正リスクは高まります。
なぜなら、初回の認証を突破されたまま登録されてしまうと、その後の取引は正規ユーザーとして扱われてしまうためです。

そのため、次のような運用上の設計が不可欠です。

  • 初回登録時: 不正検知(端末・IP・配送先)を併用して怪しい登録を遮断
  • 2回目以降: デバイス変更・高額取引・海外配送時などに3DS再認証をトリガー
  • 登録情報の有効期限設定: 正規ユーザーであっても、一定期間購入がなかった場合は再度の認証を求め、本人確認の鮮度を保つ
  • ログイン時の二段階認証: アカウント乗っ取り経由のカード不正を防止

これらを組み合わせることで、「安全にスキップできるUX」を成立させ、顧客との信頼関係を持続的に維持できます。


5. マーケティングと決済は“ひとつのファネル”である

マーケティング部門が「購入意思を作る」、決済運用が「取引を成立させる」。
この二つを分けて考えるのではなく、ひとつのファネルとして連携設計することが、ECビジネス全体の売上効率を高めます。

なぜなら、3Dセキュア パターン2は、セキュリティ施策であると同時に、実顧客化率(購入→売上転換率)を改善するマーケティング施策でもあるからです。
したがって、「購入意思をどう売上へつなげるか」――この視点で決済を再設計することが、マーケティング投資を無駄にしないための鍵です。


6. 購入体験の“最終1クリック”をデザインする

3Dセキュアのパターン2は、利便性と安全性のバランスを取る現実的な選択肢です。
初回の厳格な認証と、リスク変化時の再認証・ログイン確認を組み合わせることで、ユーザーの体験を途切れさせずに不正を防止し、購入意思を確実に売上へつなげる――すなわち“実顧客化”を支える設計が可能になります。

結論として、「最後の1クリックを通すための設計」こそが、マーケティングと決済をつなぐ新しい発想です。


アクルへのご相談

パターン2の実装・運用、3Dセキュアによる売上増加や実顧客化率向上の設計については、
アクル(AKURU Inc.)までぜひご相談ください。

不正対策と収益最大化を両立する最適な3-Dセキュア運用を、具体的な事例やデータをもとにご提案いたします。


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