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ECにおけるマーケティングファネルを新たに定義する ~アクル・モデルの提唱~

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従来のECにおけるマーケティングファネルは、リード獲得から顧客化~リピートまでを描きますが、こと「顧客化」に関しては、「購入意思」と「取引成立」の間に大きな乖離があります。ユーザーの決済プロセスでの離脱、弾かれる現実を無視して、真の顧客獲得とはなりません。アクルはこの課題に向き合い、新たなフレームワーク=アクル・モデルを提唱し、必要なソリューションを提供します。

ECにおける「顧客化」の定義は曖昧

ECの世界でよく語られるマーケティングファネルといえば、「リード獲得 → ナーチャリング → 顧客化 → リピート / ロイヤリティ」という流れです。多くのマーケティング書籍や講演でも、この図式は当然のように紹介されてきました。しかし、我々はここにひとつ大きな課題があると考えています。それは「顧客化」という概念の定義が曖昧であるという点です。

一般的には「顧客化=コンバージョン」として理解されます。しかし、それが潜在顧客が購入を決断する、購入の意思決定を確定させた段階なのか、または最終的に取引が成立した時点なのか。実は両方を含めている、とても曖昧な定義となっています(購入意思決定≒取引完了)。しかし現場に目を向けると、購入の意思決定をしたとしても、決済の注文ボタンを押しただけでは本当に顧客になったとは言えません。たとえば、クレジットカード決済においては、オーソリで弾かれてしまうケースや、EMV 3Dセキュアの認証プロセスの中で顧客が離脱してしまうケースは少なくないからです。購入意思は明確に存在していても、取引が成立しなければ、売上は発生せず、加盟店にとって実質的な顧客にはならないのです。ここに、従来型のファネル定義の曖昧さと、限界があると感じています。

新しいファネルの形~アクル・モデルの提唱~

この現実を踏まえると、マーケティングファネルをもう一度見直す必要があると考えています。従来のフレームワークでは「顧客化」という単語の中に、購買意思と取引成立の二つのステージが混在していました。しかし、ECでは「購入意思決定」と「決済完了」の間に明確な壁が存在します。ユーザー体験(UX)のちょっとした不具合、あるいはEMV3-Dセキュアなどの本人認証や、オーソリの厳格化によって、顧客は離脱してしまう。こうしたケースを考慮せずに顧客化を語るのは、実態に即していないと言えるでしょう。

そこでアクルが提唱したいのが、新しいファネルの形です。従来の「顧客化」を二つに分解し、「顧客化(購入意思決定)」と「実顧客化(顧客獲得 / 決済完了)」 というステージを導入するのです。顧客化は、ユーザーが「買いたい」と意思を固め、購入手続きを開始する段階。そして実顧客化は、その意思が決済を通過し、加盟店の売上として確定する段階です。これにより、顧客行動の実態をより正確に捉え、必要な施策を打ち出すことが可能になります。

この新しいフレームワークを我々は「アクルモデル」と呼びたいと思います。アクルモデルのファネルは、「リード獲得 → ナーチャリング → 顧客化(購入意思決定) → 実顧客化(顧客獲得 / 決済完了) → リピート / ロイヤリティ」という流れで構成されます。

アクルの取り組みと”マーケティングソリューション”とは?

このアクル・モデルを導入することで、私たちアクルの役割は一層明確になります。私たちが注力しているのは、まさに「実顧客化」を支える”マーケティングソリューション”の提供だからです。

たとえば、独自の不正検知システム「ASUKA」は、決済プロセスにおける不正取引を減らし、正当な取引がスムーズに承認されるように設計されています。これにより、オーソリ承認率の向上に寄与します。また「ASUKA-3DS」は、EMV3-Dセキュアの本人認証において、UX改善や、かつ正当な顧客が弾かれないよう最適化する仕組みを提供しています。これらはいずれも、「購入意思を示した顧客を、確実に実顧客へと変える」ためのソリューションです。アクルでは、その他、決済アグリゲーション機能やCV最適化機能など、数多くの施策を準備しています。

従来のマーケティング施策は、どうやってリードを増やすか、どうやってナーチャリングを進めるかに偏重しがちでした。しかし、どれだけリードを獲得しても、どれだけナーチャリングをしても、最後に実顧客化が成立しなければ意味がありません。だからこそ、実顧客化を独立したステージとして定義し、ここにテクノロジーと戦略を集中させることが、EC事業者にとって最も重要な成功要因になっていくのです。


まとめ

顧客化の定義を曖昧なままにしてしまうと、マーケティングファネルは現実の顧客行動を正しく反映できません。ECにおいては「購入意思」と「決済完了」の間に大きな差があるのです。アクルモデルでは、このギャップを「顧客化」と「実顧客化」に分けて明確に定義し直します。そして、アクルのソリューションはまさにその「実顧客化」を支援することにフォーカスしています。

これからのEC事業者に求められるのは、ただ顧客を集めることではなく、「購入したい」と思った顧客を「必ず取引成立にまでつなげる」こと。そのためのフレームワークとして、アクル・モデルを提案していきたいと考えています。

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