クレジットカード決済不正利用の動向
ここ最近チャージバックの話をよく耳にするようになりました。過去では大型店での不正被害が多かったのですが、大型店舗やモールのセキュリティー強化が進むにつれ、セキュリティーの低い中小規模のカード加盟店へのチャージバック被害が広がっていったようです。
現在の国内でのクレジットカードの不正金額については、実店舗でのクレジットカード偽造被害が2008年から減るにつれ、全体の不正利用金額も減っていましたが、インターネットなどでのカード番号盗用での不正被害が2008年から増え続けており、それが全体の不正被害を伸ばしてきているようです。
いつ自分の店が被害にあってもおかしくはありません。突然狙われて大きな被害が出る前に不正利用対策が必要となっています。
クレジットカード不正使用被害金額の推移(単位/円)
※ 出典:2017年6月 日本クレジット協会
どのような商材、お店が
チャージバック被害にあうのか?
- 換金性の高い商品?
- 2万円後半~8万円くらいまでの商品
- 発送前に目視確認などの対策がないお店
- 話題の商品(流行ものなど)
- Made in Japanの商品
換金性の高い人気の商材は狙われます。特に特定商材などでWEB広告などを出していると不正利用者も引き寄せてしまいますので、注意が必要です。換金性のあるものの中でも、大きなものより小さなもののほうが不正利用者からすると保管場所、配送のしやすさなどから好む傾向にあります。
狙われる商品の価格帯についてですが、ここ最近は下がってきていて、2万円後半~8万円少々くらいの範囲で不正が多くなってきています。高額なものはお店側のチェックが入ったりセキュリティーが厳しくなってきている背景もありそうです。高額イヤフォンなどはサイズも小さく、また売りさばきやすさなどの観点からも取扱いの場合は注意が必要となります。
ひと昔とは違い、現在は一点で数十万円を超えるような商品は狙われなくなってきました。洋服などでは、上から下まで数点の購入で7万円など、自然な形での不正が多くなっています。また1万円以下の換金性がないように思える商品でも、不正利用者は入手した不正カードの利用可否を確かめるという意味でターゲットにしてしまうこともあり、残念ながら現時点では絶対に大丈夫というお店はないように思えます。唯一商品が非常に大きく、配送業者と相談しながらでないといけないようなものや一点ものについては、狙われにくいと考えてよいかもしれません。
どうすればチャージバックを
未然に防ぐことができるのか?
- 発送前のチェック(目視確認や不正検知サービスを活用)
- カード会社などが推奨する方法を取り入れる
- 決済手段を絞る
- 不正の動向をおさえておく
注文が入ったら、自動的に発送というのが基本の流れだと思いますが、そのままでは、「アニメキャラクターの名前」といった氏名の注文でも発送、結果チャージバックということになってしまいかねません。そこで注文全件をチェックする必要はありませんが、新規顧客、かつ金額○○万円以上などの一定条件で注文をスクリーニングし、目視確認を利用するといいでしょう。
またセキュリティーコードは必須、状況に応じて(海外発送や海外顧客が多いなど)3Dセキュアの実装をお勧めします。3Dセキュアを導入しても、特定のブランド(AMEXやDiners)や特定の会社発行のクレジットカードはその仕組みを介さないため、そこにリスクが集中するケースがあります。状況に応じてブランドを絞る、また海外発行のカードはSBペイメントサービスへ相談をし、使えなくするなどの対応が必要となります。あるアパレルのサイトで過去にチャージバックとなったカードを調べてみたところ、発生したチャージバックのうちの7割が海外発行クレジットカードだったということが判明したこともありました。海外のお客様を相手に商売している場合、海外カードを使えなくするのは問題がありますが、海外カードを止めても、アリペイやPayPalなど他の決済手段を導入することで売上が増えたケースなどもあります。
最後に不正情報についてはWEBなどに情報が落ちているようなことはありませんので、同業界の担当者と知り合いになり、相互に情報交換をしておく、チャージバックや不正というキーワードでGoogleアラートに登録をしておくなどの対策が効果的かもしれません。
ある程度対策を施すことで、この店では不正がやりにくい、もしくは足がついてしまいそうなどという印象を不正利用者へ与えることができれば、立ち寄らなくなる可能性もあります。とは言え、チャージバックは起こらないとは言えないですし、それを恐れて全てのカード売上を疑心暗鬼になりつつ、商売するのもマイナスですので、いざという時の支えということで、チャージバック保証サービスへの加入もチャージバック対策の一つの選択肢かもしれません。