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2020.12.02

新型コロナウイルス(COVID-19)拡大による、クレジットカード不正利用の被害に対する影響や変遷に関する調査 ~高まるキャッシュレス決済におけるセキュリティ対策の必要性~

株式会社アクル(本社:東京都港区、代表取締役:近藤 修 以下、当社)は、オンラインでのクレジットカード不正利用対策の各種ソリューションを展開しています。

当社サービスの各種統計から、クレジットカードを主とするオンライン決済・キャッシュレス決済におけるセキュリティソリューションに対するニーズの拡大の実態と、不正な決済取引に対し新型コロナウイルスの感染拡大が与えた影響について、分析と考察を公表します。

本調査の概要

クレジットカード不正利用対策ソリューションを提供する当社に対する、ECサイト運営事業者からの相談案件、および当社ソリューション利用を開始するECサイト件数より、カード不正利用のトレンドを調査しました。

■概要

1. EC業界におけるセキュリティ対策ニーズの高まり

 a. オンライン決済におけるクレジットカード不正利用被害金額推移

 b. 当社への不正対策サービス各種に対する相談件数の推移

 c. 当社サービスによるECサイト取引の不正リスク スクリーニング実施件数推移

2. 商材・傾向の分析

 a. 当社への不正対策に関する相談件数・商材分布

 b. 当社の不正対策サービスASUKA 利用ECサイト数 推移

3.クレジットカード不正利用 被害の遷移にかかる考察

1.EC業界におけるセキュリティ対策ニーズの高まり

a. オンライン決済におけるクレジットカード不正利用被害金額推移

経済産業省は、2020年に向け、国際水準のクレジットカード取引のセキュリティ環境の実現を目標に掲げ、クレジットカード取引に関わる幅広い事業者及び行政が参画した「クレジット取引セキュリティ対策協議会」を2015 年 3 月に設立し、毎年ごとに実行計画を策定し取り組みを推進してきました。

しかし、電子商取引の拡大、キャッシュレス決済の推進などの情勢を背景に、クレジットカード取引における不正利用、およびその被害は拡大傾向にあります。

中でも、オンライン決済におけるクレジットカード不正利用の被害は2012年以降、継続的に増加傾向にあります。

日本クレジット協会の発表によると、2019年被害金額を示す番号盗用、およびその他の被害による金額は約256億円にのぼります。2020年も同様に高い水準のまま推移しており、被害金額は第1、第2四半期ともに50億円前後の被害金額です。

 オンライン決済におけるクレジットカード不正利用被害金額推移
出典:日本クレジット協会 *海外発行カードによる被害は含まれない

b. 当社への不正対策サービス各種に対する相談件数の推移

当社ではECサイト運営事業者向けに、クレジットカード決済における不正対策ソリューションを提供しています。

調査の1点目は、当社WEBサイトへの問い合わせによる相談案件の件数推移です。

当社の提携先パートナー企業数が増加したことも要因の一つではあるものの、ECサイトを運営する事業者から当社への相談案件が増加傾向であることから、年々、ECにおけるセキュリティ対策(チャージバック)に課題を抱えるケースが増加傾向にあると言えます。

当社への問い合わせ件数推移

▲図2:当社への問い合わせ件数推移

図2では、2019年の第3四半期における問い合わせ件数を1とした時の問い合わせ件数比率の推移を示しています。2020年の第3四半期における問い合わせ件数は、昨年同時期と比較し、355%となりました。

この推移から、クレジットカード不正利用対策を検討するEC事業者が増加していることがわかります。

c. 当社サービスによるECサイト取引の不正リスク スクリーニング実施件数推移

当社は、EC事業者を対象にクレジットカード決済における不正対策ソリューションASUKAを提供しています。このASUKAが導入されているECサイトにおける、取引のスクリーニング処理件数を集計しました。

アクル 不正対策ソリューションASUKA スクリーニング取引件数推移

▲図3:アクル 不正対策ソリューションASUKA スクリーニング取引件数推移

2020年の4月以降、当社サービスを利用するECサイト数が増加し、スクリーニングされた決済取引件数が急激に増加しています。

2019年9月と、翌年同時期にあたる2020年9月とを比較すると、昨年同時期対比で500%を超える件数の決済取引が当社システムによるスクリーニング処理が実施されています。

カード決済におけるセキュリティツール利用のニーズが増加傾向にあること、その背景として、2020年を迎えてから、クレジットカード不正利用対策ツールの利用サイト数の増加スピードも加速していることが伺えます。

2.商材・傾向の分析

a. 当社への不正対策に関する相談件数・商材分布

前段の当社への不正対策ソリューション問い合わせ案件をさらに詳細分析しています。

当社に対してカード不正対策の相談を行った事業者の業種、加えて、ECサイト運営の場合は取り扱い商材を調査しカテゴリ分けを行いました。

当社へのセキュリティ対策 問い合わせ件数と内訳

▲図4:当社へのセキュリティ対策 問い合わせ件数と内訳

特に目立つのは、ファッション・コスメを取り扱うEC運営事業者からの問い合わせ件数の増加です。2020年の第3四半期には件数が大きく増加していることがわかります。

b. 当社の不正対策サービスASUKA 利用ECサイト数 推移

当社で提供するカード不正対策ソリューションのうち、不正を低減するASUKAを利用するECサイトの業種ごとの比率調査を実施しています。

クレジットカード不正対策ソリューションASUKA利用カード加盟店 取扱商材内訳

▲図5:クレジットカード不正対策ソリューションASUKA利用カード加盟店 取扱商材内訳

図5のグラフは当社のクレジットカード不正対策ソリューションASUKAの利用加盟店、取扱商材の推移です。大きく、物販(一般商材とファッション・コスメに分別)、旅行商材、その他(WEBサービスや無形商材、CtoCプラットフォームなど)のカテゴリに分類しています。これらのECサイト数の累計を四半期ごとに集計した数値です。

2019年第3四半期におけるファッション・コスメ取扱のECサイト数を1とした場合の比較ですが、翌年同時期にあたる2020年第3四半期のECサイト数は1000%以上の増加が見られます。

2020年に入り、ファッションやコスメといった物販ECサイトでのASUKA利用が増加し、一方の旅行商材取り扱いのサイト数の増加は、他の業種と比べて横這いであることがわかります。

また、月次の推移より、ECサイト運営各社が当社サービスを導入したタイミングと、新型コロナウイルスに関連する各種ニュースを時系列で比較した図が以下になります。

当社カード不正対策サービスASUKA 導入サイト数の推移と新型コロナウイルス感染症の拡大にかかる主要なできごととの比較

▲図6:当社カード不正対策サービスASUKA 導入サイト数の推移と新型コロナウイルス感染症の拡大にかかる主要なできごととの比較

取扱商材ごとのASUKA利用ECサイト数の月次の推移と、新型コロナウイルス感染症に関する主なニュースとの関連を時系列にまとめています。

新型コロナウイルスの存在が広く認知されたクルーズ船内での新型ウイルスの感染拡大は大きなニュースとなりました。この頃から、海外渡航のキャンセル増加が相次ぎ、日本へのインバウンド観光客数も大幅に減少します。

こうした背景の中、当社ASUKAは従前より旅行商材を取り扱うECサイト向けをメインとして提供をしてきたものの、ファッション・アパレルを取り扱うEC事業者からの相談件数も増加し、利用開始される件数も非常に増加しました。

新型コロナウイルスの拡大により、これまで旅行商材をターゲットに不正購入を繰り返していた犯罪集団のターゲットが、ファッションやコスメの領域にシフトした可能性が伺えます。

3.クレジットカード不正利用 被害の遷移にかかる考察

これらの調査より、事実として以下3点が挙げられます。

事実

•クレジットカード不正対策ツールを導入するECサイトが増加傾向にある

• 中でも、複数あるECのカテゴリのうち、2020年4月以降、ファッション・アパレル商材を扱うECサイトの不正対策ツール導入の増加が顕著

• 当社への問合せ件数の増加から、EC業界におけるセキュリティサービスへの関心の高まり

こうした事実関係の背景として、新型コロナウイルスの拡大が社会やクレジットカードの不正の動向に与えた影響として以下が推察されます。

推察

1. 新型コロナウイルスの拡大を受け経済的不安が蔓延したことによる軽犯罪の増加

2. クレジットカード不正利用を通じ旅行商材の転売により利益を得ていた犯罪者が、転売機会の減少を受け、ファッション・コスメを扱うECサイトへとターゲットを変遷させた

新型コロナウイルスの影響により勤務形態、業務時間の現象や、収入の現象などにより、闇バイトと称して犯罪に加担してしまうケースが増加した可能性が考えられます。

なお、オンラインにおけるクレジットカード不正利用被害では、被害を受けた事業者による被害届が受理されないというご相談も受けることがあります。そのため、関係省庁の公表する認知件数・検挙件数には反映してこない可能性があります。

2020年に公表された経済産業省のガイドラインにおいて、宿泊施設が高リスク商材認定されるなど、被害が目立つ領域でした。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により訪日観光客の大幅な減少と同時に、旅行商材の転売機会も減少したと考えられます。

当社では、こうした背景を受けて、犯罪者のターゲット商材として、転売機会が残っているファッション・コスメを取扱うECサイトに変遷した、と推察しています。

2020年の新型コロナウイルスの拡大前からも、クレジットカードの不正利用の増加傾向は認められていました。

こうした背景の中、2015年から、経済産業省では2020年に向けてクレジット取引における国際水準のセキュリティ環境の整備を目指し、対策の強化に向けた具体的な取組を議論し策定してきました。

しかし、冒頭の被害金額の推移の通り、対面決済における不正利用被害はICチップの普及により減少傾向にあるものの、非対面決済(オンライン)の領域では不正や被害が増加しています。

コロナ禍では新たな生活様式・働き方などが試行錯誤される中、キャッシュレスの推進や、非対面オンラインサービスの普及がこれまで以上に加速することが想定されます。同時に、こうした新領域におけるセキュリティ対策の意識やリテラシーの向上が求められます。

クレジットカード不正利用対策ソリューション ASUKAについて

「ASUKA」はECサイト上で不正なユーザーを判別し排除できるサービスです。

具体的には、購入者がクレジットカード決済する際に、リアルタイムに当社がリスクを判定し、認証を行うサービスです。

これにより、従来の不正利用防止策で課題とされていたコンバージョン率の低下(いわゆるカゴ落ち)や真正な利用者への影響を最低限に留め、クレジットカードの不正利用を防止できるようになります。

■サービスフロー イメージ

クレジットカード不正利用対策ソリューション ASUKAについて
クレジットカード不正対策ソリューションASUKA サービスページ;
https://akuru-inc.com/lp/asuka/

アクルについて

アクルは、チャージバック対策システムから保証まで、オンライン上でのクレジットカード決済における不正対策ソリューションを総合的に提供する、国内では唯一の不正対策コンサルティング会社です。

不正対策ソリューションの提供だけでなく、独自に調査した不正についての国内外の最新の傾向、根本的に不正を排除するための有効な対策について定期的に情報を配信するなど、不正対策・セキュリティ意識強化を目指した啓蒙活動も推進しています。

*当社では、各種メディアの方を対象としたクレジットカード決済関連の情報交換会、勉強会なども不定期で開催しておりますのでお気兼ねなくご相談ください。

株式会社アクル 会社概要

会社名 株式会社アクル
代表取締役社長 近藤 修
本社所在地 東京都港区六本木1丁目9番9号六本木ファーストビル14階
設立 2016年7月1日
資本金 10,000千円
事業内容 クレジットカード不正対策ソリューション、チャージバック保証サービス、集客支援サービス他
URL https://akuru-inc.com/

本件に関するお問い合わせ

株式会社アクル

TEL03-6866-8558
eメールinfo@akuru-inc.com

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