チャージバックは引き続き増加傾向に
図は2018年までの四半期ベースのクレジットカード不正被害のチャートになります。2017年以降急増していますが、2018年以降も引き続き増加傾向です。基本的にどんな商材でも今は狙われていますが、2019年もこの勢いは変わりそうもありません。
因みに、2018年の第四四半期は突如伸びがありますが、これは○○○億円あげちゃうキャンペーンなどでおなじみのQRコード決済系での被害と、ホテル、航空券などの旅行系商材による被害の増加の影響と言われています。
2019年の主な傾向とは?
2019年以降のチャージバックの傾向でいいますと、やはり以下のポイントがあげられるでしょう。
- チャージバック被害商材の低価格化
- 中国系によるアタック
- 転送業者経由による被害の増加
- アパレル、コスメ系商材での被害の増加
- ホテルなどの宿泊施設でのチャージバック被害の増加
チャージバック被害商材の低価格化
通常不正利用者は、主に他人のカード番号で不正に物を取得し転売することが大方一般的な目的になります。闇サイトでカード番号を不正に入手するわけですが、当然「仕入れ」が発生しているわけです。
たとえば、不正利用者はクレジットカード番号を闇サイトから10ドルで仕入れたとした場合、その“仕入値以上”の物・サービスにアタックをするわけです。費用対効果ではないですが、できるだけ高く売れる商材を探します。今までは狙われる商材として、10万円以上する高額なブランド品、家電などが圧倒的に多かった背景がそこにありました。
ところが最近それも変わりつつあります。たとえば2-3,000円レベルの商材でも普通にチャージバックが発生してきています。
高額な商材だけ注意して見ていればよい、といった考えは捨てたほうがいいかもしれません。
中国系のアタック / 転送業者経由による被害の増加
詳細については、下記コラムをご参考ください。
「2019年 中国電子商取引法の施行と国内不正傾向の変化とは」
アパレル、コスメ系商材における被害の増加
この二つの分野は以前よりチャージバックの多い商材です。これに家電製品を加えると、三大チャージバック商材といっても過言ではありません。
2019年は、特にアパレル、コスメ系の被害がさらに伸びているといった印象です。
アクルへのご相談やチャージバック保証の申請が増えています。
また先ほどの低価格化、中国系のアタックとも相関性は高いです。中国人に人気な商材領域なわけですが、中国系のアタックで且つ数千円のアパレル、コスメの被害も増加しています。
同商材における中国系ユーザーの注文で、転送業者宛といった注文には、低価格だとしても、今まで以上に慎重になる必要があるとみています。
ホテルなど宿泊施設でのチャージバック被害の増加
旅行系商材は以前からチャージバックが多い領域になります。特に航空券の被害は現在でも相当な規模でチャージバックが発生しています。一方で、ホテルや旅館などの宿泊施設におけるチャージバックは2018年の半ばごろまでは目立つほどには起きていませんでした。
ところが、昨年暮れごろから宿泊施設でのチャージバックが急増しています。それは2019年も同様な傾向です。
そこには“闇の旅行代理店”の存在があります。どうやら、SNS等でこのフェイク旅行代理店が蔓延しているようです。圧倒的に中国系が多いのも特徴です。
宿泊利用者は、この“闇の旅行代理店”の存在をSNS等の口コミで知りホテルの予約をします。特徴は圧倒的に安いということですが、代金はその“闇の旅行代理店”に支払います。一方で、その“闇の旅行代理店”は、他人のクレジットカードで、該当ホテルに予約を入れるのです。何も知らない真正な宿泊施設利用者は、当日ホテルに泊まるわけですが、ホテル側は後日カード会社から、第三者不正利用によるチャージバックとして売上を取消しされるわけです。
この被害傾向は、2020年のオリンピックまでは少なくとも続くとみていますが、直近ではOTA経由から、ホテル直サイトでの被害に移りつつあります。少なくとも不正利用者は、何も対策をしていない裸の状態の宿泊施設にターゲットを移しつつあるのです。
アクルではホテルなどの旅行商材向けの不正防止ツールを提供していますが、こういったツールをご利用するのも不正を弾く手段の一つです。現在大手OTAからホテルなどの宿泊施設まで多岐にわたりご利用いただいております。
不正防止認証ツールASUKA for Travel(アスカ フォー トラベル)
2019年もチャージバック対策は可及的速やかに
「たまたま起きただけ」「売上でカバーできればよい」「一回起こってしばらくないから大丈夫」といった考えは非常に危険です。
不正利用者は時間を空けてまたやってきます。その後炎上するカード加盟店を何度も見てきました。重要なのは不正利用者を寄せ付けない対策、運用を速やかに実行し継続することです。
これは、チャージバックという課題に対しての本質であり、2019年も引き続き変わることはないとみています。