• コーポレートサイトへ
  • お問合せ
  • 不正対策の基礎
  • 不正トレンド
  • グローバルトピックス
  • カード情報漏洩
  • セキュリティとニュース
  • 法整備

レジャー業界のチャージバック急増

ホテル宿泊がカード不正利用のターゲットに
公開日 2019年9月24日
不正トレンド

 

インバウンド訪日外国人の増加

都内を歩いていてもインバウンドによる外国人旅行客が非常に多く見かけられるようになりました。

今年2019年はラグビーのワールドカップ、そして来年2020年には東京オリンピックが開催され、さらなる外国人が日本を訪れることも予想されます。

今や多くのレジャー施設やホテル、水族館、動物園、スカイツリーや東京タワーなど、外国人にとって日本に来たのであれば訪れるであろう観光地では、オンラインチケットの事前予約・事前購入も非常に一般的になりました。

チケットサイトでは多言語に対応し、各国の主要な支払方法を充実し、実際の観光施設でも場所によっては外国人スタッフを配置するなど、各国の観光客向けのサービス体制を強化しています。


訪日外国人の増加の闇

一方で、こうしたインバウンド訪日外国人の増加による”闇”の部分も、見えない所で大きくなりつつあります。

その一つが不正なクレジットカード利用によるチャージバックの問題、とりわけホテルなど宿泊施設に対する不正なカード決済が2019年に入り急増しています。

いくつかのメディアでは「不正トラベル」としてニュースになったこともありましたが、要するに不正に入手したクレジットカードを用いて宿泊を転売する、という手口が横行しており、関係各社が頭を悩ませています。

旅行業界におけるクレジットカード不正利用とチャージバック

▲不正トラベルの概要

 

宿泊客である外国人はオンラインで旅行を手配することに慣れており、この転売業者(不正をはたらく旅行代理店)が正規な事業者か、不正事業者かを識別することは難しく、また日本における旅行業法のような規定が存在しない国や地域もあります。

宿泊施設目線では、不正なクレジットカード情報による宿泊であると認知できるまでに時間がかかるため、チャージバックの通知を受けた頃には、宿泊客はチェックアウトしてしまっています。国外に出国してしまっているのであれば、事情をヒアリングするにも、日本の法律や警察の手が届きにくいこともこの手口の抑制の足枷となっています。

仮に宿泊客の滞在中にクレジットカード不正利用が発覚したとしても、少なくとも宿泊客は正規の費用を支払っている認識でいるため、支払いを要求することで大きなトラブルに繋がる可能性もあります。

せっかく渡航先として日本を選んでくれたにも関わらず、貴重な滞在期間に苦い思いをさせてしまうのは心苦しい限りであり、ホスピタリティを重要視する施設側は、宿泊客に声をかけにくい、といった実態もあります。(宿泊費用を受領できないにもかかわらず・・・)


レジャー業界における不正の変遷

宿泊施設では兼ねてから予約だけするものの当日連絡もなく現地に来ない、NoShowの問題や、昨今ではチェックアウト時に不要になったスーツケースを放置して部屋を後にする、といったトラブルが発生し、ゲストへのおもてなしに注力するスタッフを悩ませてきました。スーツケースを施設側が処分するため数千円の費用がかかってしまうことはあまり知られていません。

 

特に、前者のNoShowの問題は宿泊施設だけでなく、飲食業界でもSNSで取り上げられ問題になることもあり比較的認知度は高い問題です。

予約を受け付け部屋を確保していたにもかかわらず、連絡もなく来ないため、もし別のお客様から宿泊のリクエストを受けお断りしていたとすると、宿泊施設としては機会損失が生じたことになります。

また、ホテルではなく、豪勢な夕食に魅力のある老舗旅館などでは、こうした食材を破棄せざるを得ないため、この様な損失も少なくありません。

宿泊キャンセルの場合は予め受領していたクレジットカードに対し、規定のキャンセル料をチャージする事もありますが、中にはこうしたキャンセル料のカード課金に対してもチャージバックされてしまうケースもあります。

中には、ホテルのブランドイメージを気にするため、キャンセルチャージは行わない運用を採択している会社もあるようです(あきらめている、という表現の方が正確かもしれません)。


不正トラベルによる被害の急増

さらに、業界の課題は時代と共に変化します。

2018年頃からこの不正トラベルによる被害が徐々に増え始め、まずは大手OTAがターゲットにされ、彼らが不正対策を講じると共に、徐々にターゲットはセキュリティの低い、ホテル公式予約サイトや特殊な決済手段のみをアタックするようになりました。

ホテル運営事業者では「このような被害に遭うのもはじめてで、チャージバックというルールが存在する事もはじめて知った」とお話しする方もいらっしゃいました。

増加傾向であることは当社アクルへのお問合せ・ご相談件数の増加からも肌感覚で感じていましたが、2019年の上期頃から被害が驚くほどの勢いで急増しています。

宿泊業界といっても様々なレイヤーや業態が存在するため一概に一括りにすることは難しいですが、2019年だけでも被害金額は数億から数十億円レベルに昇るのでは、と試算しています。2019年下期の被害の拡大がこのまま進めば、それ以上の被害金額になる可能性もありそうです。


旅行業界の発展のためにもセキュリティ投資を

旅行業界におけるクレジットカード不正利用とチャージバック

このまま日本の旅行業界のセキュリティが国際基準に届かないままに2020年の(記念すべき!)東京オリンピック開催時期に突入してしまうことで、業界各社・現場のスタッフが努力を重ねたにも関わらず、その対価が業界各社ではなく、不正利用者に搾取されてしまうことが懸念されます。

日々、こうした宿泊施設の支配人さん、オンライン予約サイトのマーケティング担当の方々とお話させて頂いていますが、自社のホテルに泊まってもらおうと趣向を凝らし、様々な取り組みを進めていらっしゃいます。こうした試行錯誤の成果がクレジットカードの不正利用による横取りを許してはいけません。

当社アクルでも、業界の健全な発展のため、業界各社とタッグを組みながらクレジットカード決済環境のセキュリティ強化を推進して行きます。


前の記事へ次の記事へBlog Home

カテゴリーから閲覧
  • 不正トレンド (45)
    • チャージバックとは?仕組みと対策 | 基礎知識
    • 拡大するクレジットマスターの被害
    • クレジットカード不正利用、被害の原因とは?
    • 不正検知システム提供から見るカード不正利用 2020年総括
    • チャージバック保証申請から見る2020年の傾向とは
    • 3-Dセキュア2.0による不正への影響とは
    • クレジットカード不正利用の実態 Emailドメイントップ20
    • 「パスワードに誤りがあります」とエラー表示するサイトはセキュリティが甘い理由
    • 不正配送先住所との照合の落とし穴 | カード不正対策4方策
    • フォローアップ体制 | 不正検知システム比較の指標
    • ネットショッピングでやってはいけない3つのこと ~ 不正に遭わないための法則
    • 不正対策の仕事をしてるのに不正ログイン被害に遭った話
    • デジタルシフトの加速とリスク
    • カード不正利用した者を捕まえられるのか?
    • 新型コロナウィルスとチャージバック傾向の変化とは
    • カード不正対策における費用対効果とは
    • 不正利用者の思考回路から考える有効な不正対策とは
    • カード情報の漏洩の実態「フォームジャッキング」
    • チャージバック保証申請データから見える不正対策の次のステージとは
    • 3-Dセキュア実装の旅行系カード加盟店のジレンマ
    • 不正顕在化加盟店とは? | 基礎知識
    • カード不正利用に大学生が関与?昨今ではSNSで高額バイトの募集も(後編)
    • カード不正利用に大学生が関与?昨今ではSNSで高額バイトの募集も(前編)
    • クレジットカード不正利用と転送会社
    • レジャー業界のチャージバック急増
    • クレジットマスターの変遷と対策の「最適解」とは?
    • クレジットカード決済におけるチャージバックの不条理とは
    • チャージバック 2019年上半期の主な傾向とは?
    • 2019年 中国電子商取引法の施行と国内不正傾向の変化とは
    • 2017年チャージバック急増の実態
    • チャージバック事例 換金以外の目的?
    • 巧妙化する詐欺の手口
    • チャージバック事例 季節性とトレンド
    • ダークサイトで売買される情報とチャージバック
    • チャージバック事例 業界横断・同商品
    • カード不正利用・チャージバックのトレンド
    • ダークサイトで売買される個人情報
    • 狙われる日本のカード決済環境
    • 2017年に入りチャージバック金額急拡大?被害金額推移
    • 3-D Secureを破られカード決済を停止される?
    • チャージバック事例 工具等の被害が目立つ
    • IDパスワード漏洩に起因するカード不正利用
    • クレジットのIC対応化がチャージバック増加を助長?
    • チャージバック被害事例、手口の更なる巧妙化
    • チャージバック統計 - 配送先住所の特徴
  • グローバルトピックス (11)
    • ベトナムから垣間見えるカード決済の今後
    • アジアにおけるモバイルコマースと決済手段の考察
    • 北米、チャージバックのリスクマネジメント
    • 不正検知における「False Positive」とは
    • 米国における不正対策の実態とは
    • 米国におけるFriendly Fraud増加の背景と考察
    • UK(英国)における不正事情について
    • 台湾のカード決済事情
    • 米国における情報漏洩とAccount Takeover
    • 米国におけるクレジットカード漏洩事件
    • アメリカでのチャージバックやカード不正事情
  • カード情報漏洩 (9)
    • 拡大するクレジットマスターの被害
    • ネットショッピングでやってはいけない3つのこと ~ 不正に遭わないための法則
    • 不正対策の仕事をしてるのに不正ログイン被害に遭った話
    • カード番号漏洩の闇、中南米での実態
    • ダークサイトで売買される情報とチャージバック
    • ダークサイトで売買される個人情報
    • 売買されるIDとパスワード情報
    • 防止できないカード情報の漏洩事故
    • カード情報漏洩はなぜ起こる?
  • セキュリティとニュース (17)
    • チャージバックとは?仕組みと対策 | 基礎知識
    • 3-Dセキュア2.0 - 動的本人認証とは
    • クレジットカード不正利用、被害の原因とは?
    • 3-Dセキュア2.0による不正への影響とは
    • 不正対策の仕事をしてるのに不正ログイン被害に遭った話
    • 不正利用者の思考回路から考える有効な不正対策とは
    • カード情報の漏洩の実態「フォームジャッキング」
    • チャージバック被害にあったら???
    • 不正顕在化加盟店とは? | 基礎知識
    • チャージバック保険・チャージバック保証の違いとは
    • Protect Buy | ダイナースが3-Dセキュア提供開始を発表
    • 3-Dセキュア2.0とは?
    • 巧妙化する詐欺の手口
    • セキュリティコードとは?歴史や背景と効果 | 基礎知識
    • 2017年上半期のクレジットカード不正利用金額推移
    • カード不正利用関連ニュース
    • クレジットカード決済における不正対策とは? | 基礎知識
  • 法整備 (3)
    • 3-Dセキュア2.0とは?
    • チャージバック発生時、被害届は提出すべき? | 基礎知識
    • 改正割賦販売法の施行・実行計画に伴う動き
  • 不正対策の基礎 (21)
    • チャージバックとは?仕組みと対策 | 基礎知識
    • 3-Dセキュア2.0 - 動的本人認証とは
    • チャージバック保険・保証の加入を断られたら
    • チャージバック保証や保険は不正利用対策として有効なのか?
    • カード不正利用した者を捕まえられるのか?
    • 2020年のカード不正利用トレンド
    • カード不正対策における費用対効果とは
    • 不正検知システムの比較(1) - 精度の比較
    • 不正検知システムの比較(2) - 真正利用者への影響
    • 不正検知システムの比較(3) - ブラック情報の実効性
    • 利用内容照会とは? | 基礎知識
    • 不正顕在化加盟店とは? | 基礎知識
    • Protect Buy | ダイナースが3-Dセキュア提供開始を発表
    • 自分のクレジットカードが不正利用されたら???
    • 決済代行会社様向けコラムのご紹介 
    • 3-Dセキュアのシステム設定方式
    • 3-Dセキュア利用による売上への影響とは?
    • チャージバック発生時、被害届は提出すべき? | 基礎知識
    • 2017年チャージバック急増の実態
    • セキュリティコードとは?歴史や背景と効果 | 基礎知識
    • クレジットカード決済における不正対策とは? | 基礎知識
掲載履歴から閲覧
  • 2017
    • February (2)
      • チャージバック統計 - 配送先住所の特徴
      • クレジットカード決済における不正対策とは? | 基礎知識
    • March (3)
      • クレジットのIC対応化がチャージバック増加を助長?
      • アメリカでのチャージバックやカード不正事情
      • チャージバック被害事例、手口の更なる巧妙化
    • April (3)
      • カード情報漏洩はなぜ起こる?
      • 米国におけるクレジットカード漏洩事件
      • IDパスワード漏洩に起因するカード不正利用
    • May (4)
      • 売買されるIDとパスワード情報
      • 米国における情報漏洩とAccount Takeover
      • チャージバック事例 工具等の被害が目立つ
      • 防止できないカード情報の漏洩事故
    • June (5)
      • 狙われる日本のカード決済環境
      • 台湾のカード決済事情
      • 3-D Secureを破られカード決済を停止される?
      • UK(英国)における不正事情について
      • 2017年に入りチャージバック金額急拡大?被害金額推移
  • 2019
    • August (6)
      • 3-Dセキュア2.0とは?
      • 自分のクレジットカードが不正利用されたら???
      • チャージバック 2019年上半期の主な傾向とは?
      • Protect Buy | ダイナースが3-Dセキュア提供開始を発表
      • クレジットマスターの変遷と対策の「最適解」とは?
      • クレジットカード決済におけるチャージバックの不条理とは
  • 2017
    • August (5)
      • カード不正利用・チャージバックのトレンド
      • カード不正利用関連ニュース
      • 改正割賦販売法の施行・実行計画に伴う動き
      • 米国におけるFriendly Fraud増加の背景と考察
      • ダークサイトで売買される個人情報
    • September (2)
      • チャージバック事例 業界横断・同商品
      • 米国における不正対策の実態とは
    • October (2)
      • ダークサイトで売買される情報とチャージバック
      • 不正検知における「False Positive」とは
  • 2021
    • March (3)
      • チャージバックとは?仕組みと対策 | 基礎知識
      • 拡大するクレジットマスターの被害
      • 3-Dセキュア2.0 - 動的本人認証とは
  • 2017
    • November (4)
      • 2017年上半期のクレジットカード不正利用金額推移
      • セキュリティコードとは?歴史や背景と効果 | 基礎知識
      • チャージバック事例 業界横断・類似商品
      • 北米、チャージバックのリスクマネジメント
    • December (3)
      • チャージバック事例 季節性とトレンド
      • カード番号漏洩の闇、中南米での実態
      • アジアにおけるモバイルコマースと決済手段の考察
  • 2019
    • May (3)
      • チャージバック発生時、被害届は提出すべき? | 基礎知識
      • 3-Dセキュア利用による売上への影響とは?
      • 3-Dセキュアのシステム設定方式
  • 2018
    • January (2)
      • チャージバック事例 換金以外の目的?
      • 巧妙化する詐欺の手口
    • April (1)
      • 2017年チャージバック急増の実態
  • 2019
    • June (3)
      • カード不正対策に、「セキュリティ投資」の概念を
      • 不正検知システムの役割と課題について
      • 決済代行会社様向けコラムのご紹介 
    • July (1)
      • 2019年 中国電子商取引法の施行と国内不正傾向の変化とは
    • September (3)
      • チャージバック保険・チャージバック保証の違いとは
      • レジャー業界のチャージバック急増
      • クレジットカード不正利用と転送会社
    • October (2)
      • カード不正利用に大学生が関与?昨今ではSNSで高額バイトの募集も(前編)
      • カード不正利用に大学生が関与?昨今ではSNSで高額バイトの募集も(後編)
    • November (3)
      • ベトナムから垣間見えるカード決済の今後
      • 不正顕在化加盟店とは? | 基礎知識
      • チャージバック被害にあったら???
    • December (3)
      • チャージバック保証申請データから見える不正対策の次のステージとは
      • 3-Dセキュア実装の旅行系カード加盟店のジレンマ
      • 利用内容照会とは? | 基礎知識
  • 2020
    • January (2)
      • カード情報の漏洩の実態「フォームジャッキング」
      • 不正利用者の思考回路から考える有効な不正対策とは
    • February (3)
      • 不正検知システムの比較(1) - 精度の比較
      • 不正検知システムの比較(2) - 真正利用者への影響
      • 不正検知システムの比較(3) - ブラック情報の実効性
    • March (2)
      • カード不正対策における費用対効果とは
      • 新型コロナウィルスとチャージバック傾向の変化とは
    • April (2)
      • 2020年のカード不正利用トレンド
      • カード不正利用した者を捕まえられるのか?
    • May (2)
      • デジタルシフトの加速とリスク
      • 不正対策の仕事をしてるのに不正ログイン被害に遭った話
    • June (2)
      • ネットショッピングでやってはいけない3つのこと ~ 不正に遭わないための法則
      • チャージバック保証や保険は不正利用対策として有効なのか?
    • August (3)
      • チャージバック保険・保証の加入を断られたら
      • 不正配送先住所との照合の落とし穴 | カード不正対策4方策
      • フォローアップ体制 | 不正検知システム比較の指標
    • September (1)
      • 「パスワードに誤りがあります」とエラー表示するサイトはセキュリティが甘い理由
    • November (2)
      • チャージバック保証申請から見る2020年の傾向とは
      • 3-Dセキュア2.0による不正への影響とは
    • October (1)
      • クレジットカード不正利用の実態 Emailドメイントップ20
  • 2021
    • January (1)
      • 不正検知システム提供から見るカード不正利用 2020年総括
    • February (1)
      • クレジットカード不正利用、被害の原因とは?
Copyright© 2017 Akuru, Inc. All rights Reserved.