米国におけるチャージバック内訳(米国)
チャージバックには加盟店の処理ミスによるもの、第三者不正利用などいくつか種類がありますが、以下は米国におけるチャージバックの内訳です。驚きのデータが公表されています。
- 不正取引(第三者利用):20%
- フレンドリーフロード :70%
- マーチャントエラー :10%
“Friendly fraudsters contact the bank for a chargeback rather than obtain a traditional refund from the merchant. They’ll use whatever means necessary to inaccurately describe the original transaction” = 本人利用による踏み倒し
参照元:Chargebacks 911
米国におけるFriendly Fraudの実情
米国では、実にチャージバックの7割近くがFriendly Fraud(本人不正利用)というのをご存じでしょうか。他人のカード番号を盗用し、不正をするCriminal Fraud (第三者不正利用)よりもこのFriendly Fraud のほうが実態として多いのです。
日本では、一部デジタルコンテンツではこの本人不正利用も多いとされていますが、全体的にFriendly Fraudについてはそれほど多くはありません。しかし、米国ではFriendly Fraudが全体に占める割合のほとんどであり、社会問題化しています。
Friendly Fraud の発生事由とは?
米国のある企業リサーチによれば、毎年約50%の勢いで、このFriendly Fraud が増加しているとも言われています。
ではなぜこのFriendly Fraud は起こるのでしょうか。ジーパンを本人が買っていながら、カード会社へ、「買っていない!」と主張するわけですが、いくつかその理由が透けて見えてきています。チャージバックは、「消費者保護」の観点から設計されたものですが、消費者が加盟店への武器として逆に利用(悪用)してしまっているケースです。
- 購入時における加盟店の対応が悪く、消費者があえてチャージバックを起こすケース
- 返品プロセスが面倒なので、チャージバックを起こすケース
- 返品を速やかに行わなかったため、返品期限が切れた。そのためチャージバックを起こすケース
- 返品コストを避けるためにチャージバックを起こすケース
- 消費者は、配送が遅れており、面倒なのでチャージバックを起こすケース。
- 家族の誰かが購入したが、カード保有者は支払いを拒み、チャージバックを起こすケース
- カード保有者が購入自体を忘れてしまった、または認識しなかった。
- カード保有者が自ら取得、もしくは転売目的のために、チャージバックを起こすケース
何故米国では突出してFriendly Fraudが多いのか
しかし、上記の理由からわかるようにチャージバックの仕組みを悪用しているとしても、なぜこれほどまでに多いのでしょうか。
考察するに、米国におけるE-Commerceの顧客満足度に関係していると考えます。ユーザーサポートが不十分なケースが多いとされているからです。米国のサイトで買い物をする時に、サポート連絡先などがなかったり、また問い合わせ窓口すらないケースもあります(筆者経験談)。つまり加盟店と消費者とのコミュニケーションが図られていないのが、根底にある原因ではないかと推察します。
上記のケースで問題などがあった時に、本来消費者がコンタクトを取るのは、カード会社ではなく、加盟店です。ここの信頼関係が、E-Commerceサイト上で構築されていないのが、一番の原因なのではないでしょうか。そのために怠惰な選択をしてしまう消費者が米国では多いのかもしれません。しかし、このことは日本の加盟店においても教訓として参考になるかもしれません。