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クレジットカード不正利用の増加による「不正顕在化加盟店」と「オーソリゼーション承認率低下」でECの売上が低下する!?

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クレジットカード不正利用の増加:「不正顕在化加盟店」と「オーソリゼーション承認率低下」についてどれくらい理解していますか?
本記事を読んで本質的な不正対策を考えてみましょう。

クレジットカード不正利用対策の変遷と法改正の影響

売上の増加に喜びも束の間、クレジットカード会社からのチャージバック通知により、売上の取消しが生じる事態が続出しています。商品は既に不正利用者の手に渡り、転売されており、カード加盟店(以下:加盟店)は数万円、数十万円の売上を失うことに。これは、非常に大きな痛手です。

そこで問われるべきは、不正対策の目的です。目標は、もちろん不正被害金額をゼロにすることですが、近年では加盟店に対して、不正対策の手法やアプローチの変革が求められているのが現状です。

その背景には、2018年6月の割賦販売法改正が大きく関与しています。この改正により、クレジットカード番号の非保持化と不正利用対策の義務化が明確に定められました。さらに、カード会社(アクワイアラー)が加盟店に対して行う途上与信審査の強化も、同法改正の中で提唱されています。

こうした法改正により、加盟店はクレジットカード不正利用対策の手法を見直す必要があり、新たな対策やアプローチが模索されるようになっています。

不正顕在化加盟店の増加

「不正顕在化加盟店」とは、いわば加盟店のブラックリストとも言えるもので、不正被害が多発する加盟店が指定されるリストのことです。こうした加盟店は、JDM(加盟店情報交換センター)にて「要注意」として登録され、近年、その数が急増しています。これは2018年の割賦販売法改正によるカード会社の加盟店に対する途上与信審査強化が影響しています。

不正顕在化加盟店に指定されると、カード会社(アクワイアラー)から指導が入り、具体的な不正対策の実施が求められます。それでも不正利用が減らない場合や、意図的に不正対策を怠っていると判断されると、最終的にはカード加盟店契約が解除され、カード決済が停止されるという厳しい措置が取られます。

不正顕在化加盟店の指定基準としては、カード会社(アクワイアラー)が把握する不正利用金額が「3ヵ月連続で50万円を超える」ことが挙げられます。

なお、加盟店情報交換センター(JDMセンター)は、日本クレジット協会が割賦販売法の規定に基づいて運営する一般社団法人であり、利用者等の保護に欠ける行為に関する情報を加盟会員会社から登録し、提供する機関です。

不正利用増加に伴うオーソリゼーション承認率低下の懸念

不正利用が増加することにより、「不正顕在化加盟店登録」だけでなく、別の悩ましい現象も引き起こしています。それは、近年急増している「オーソリゼーション承認率の低下」です。

オーソリゼーションとは、カード発行会社によるカードホルダーの与信残高の確認を指します。例えば、与信残高が5万円のカードホルダーが10万円の買い物をしようとすると、与信残高オーバーと認識され、オーソリゼーションでエラーが発生します。

このオーソリゼーション承認率の低下は、カード会社(イシュアー)が不正利用の多い加盟店に対し、意図的に厳格な閾値を設定し、結果として承認率を下げる現象です。これにより、正規ユーザーの与信残高が十分な取引でもカード決済が拒否されることがあり、売上の機会損失が生じます。この影響は、チャージバックよりも深刻で、顧客離れ(カゴ落ち)が多発する恐れがあります。

オーソリゼーションの承認率が一度下がると、加盟店がカード会社(イシュアー)と交渉することは基本的に困難であり、事実上不可能と言っても過言ではありません。不正被害を減らすことが唯一の方法であるかもしれませんが、一度低下したオーソリゼーションの承認率を回復させるのは容易ではありません。今後の対策が求められる状況です。

不正対策の本質:長期的リスク管理への投資

不正対策を検討する際、過去の被害金額を基準とする加盟店が多いのは確かです。例えば、年間10万円の被害があった場合、その額以上の費用をかけて不正対策を実施することに躊躇する加盟店は決して少なくありません。しかしながら、この考え方は短期的な視点に基づくもので、長期的なリスク管理の観点からは適切ではないと言えます。

より重要なのは、「不正顕在化加盟店」に指定されないようにすることや「オーソリゼーション承認率を下げない」方法を事前に模索することです。不正対策は、被害金額と対策コストの勝ち負けではなく、将来のリスクを最小限に抑えるための投資として捉えるべきです。

それは、不正が起きてしまい、結果「不正顕在化加盟店」への指定や、「オーソリゼーション承認率の低下」が起きてしまうと、なかなか元に戻るのは難しいからです。

2023年3月に義務化が発表されたEMV3Dセキュア(3Dセキュア2.0)は、不正利用を防ぐ効果的な手段とされています。とはいえ、EMV3Dセキュアを導入しただけで、「不正顕在化加盟店」の指定や「オーソリゼーション承認率の低下」を完全に防ぐわけではありません。EMV3Dセキュアを実装しても、不正利用が多発する場合、これらの問題が引き続き発生するリスクがあるためです。

不正検知認証システム「ASUKA」活用による効果的な対策

不正利用対策として、不正検知システムの利用が効果的であることは言うまでもありません。不正利用者は今や集団で生業としてアタックを仕掛けており、カード決済に課題がある限り、不正行為は根絶できないと言わざるを得ません。このような状況を鑑みると、不正対策は終わりの見えないマラソンのようなものであると言えるでしょう。

アクルが提供する不正検知認証システム「ASUKA」は、多種多様な業界のEC加盟店が利用しており、専門のコンサルタントが「終わりのないマラソン」をサポートし、EC加盟店を力強くバックアップしています。

また、「ASUKA」はEMV3Dセキュアとの組み合わせも容易に実現でき、そのようなサービスを利用することで、不正利用のリスクを最小限に抑えることができます。

興味をお持ちの方は、ぜひアクルにお問い合わせいただくことをお勧めいたします。


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