3Dセキュア導入のお店が増えるにつれ、そのお陰で決済ができず、モノ/サービスが買えないという事象が増えてきたと、個人的な普段の購入のシーンでそのように感じるようになりました。
カードを使う立場からすると、3Dセキュアは不正を未然に防止するための仕組みということを理解はしているのですが、不正ではなく本人が今、ここ(普段のPCの前)でモノを買おうとしているのに、その購入を阻害してしまうというのは少々腹立たしさを感じてしまいます。
一方でモノの販売をしているお店の立場ではどうでしょう?
何度もカード情報を打ち込んでるユーザーは「使えないカードで買おうとしている」と映りがちですが、そうではなく3Dセキュアが購入阻害をしているとわかれば「ちゃんとデータを見て作動してくれよ。お店の売上にならずお客様が逃げてしまうじゃないか。」という切実な声が漏れてしまいます。
せっかくお客様の行動分析をしてみたり広告文言をいくつかテストしてみたりして、Web広告に対し時間と費用をかけて集客し、やっとお客さんが商品をカゴに入れて購入してくれる所まで持ってきたのに。
3Dセキュアによって決済が完了せず、お客様が帰ってしまうというのは許容できないはずです。
どんなケースで購入阻害を受けたのか
エアコンの購入時の話です。
中古で購入した自宅が8年経ったこともあり、夏前にエアコンが一度に2台壊れてしまいました。
元々購入時は使っていなかった一つの部屋も子供たちが使うようになり、奮起して3台同時に購入することにしたのです。2台は入れ替え、1台は新規という形です。
3台となるとかなりの出費となりますので、評価の良い安価な商品をチョイスすることにしました。
最安値のお店を検索し商品を決定し、いざ決済!
購入ボタンを押下時に3DセキュアのSMSが飛んできたので入力するも、その後のオーソリで承認がおりず、購入が叶わないという結果でした。
オーソリの枠があるにも関わらずです。
カード会社側で3Dセキュアを通過した取引のため、不正利用が発生するとカード会社にて費用負担となるため、それを恐れて承認を出さなかったのだと思います。
表面上は3Dセキュアでの購入阻害ではなく、3Dセキュアのスキームによる承認率の低下が原因です。
それでは、3台まとめてではなく、1台ずつの購入ならどうかとチャレンジしてみます。
このケースでも同じで3Dセキュアの後のオーソリで弾かれてしまいました。不正利用者が購入を試みていると、カード会社のシステム上、判断されてしまったのでしょう。
夜間の購入であったため、カード会社へ身の潔白を証明するための電話もできませんので、一旦この店での購入を諦めました。
せっかく店の評価も悪くなく価格も魅力的でしたが、買えないのであればどうしようもありません。
他の店を当たることにします。
3Dセキュア未導入のECサイトでの挙動は?
しかしここで疑問が出てきました。このままでは他の店を当たっても、このカードではエアコン相当のものは買えないのではないかと。
明日の朝まで待ってカード会社へ連絡をするかと思ったところで、3Dセキュアの入っていないお店ならどうなるのかという好奇心が沸いてきました。好奇心に身を任せ、最安値ではないが金額が許せる範囲で3Dセキュアの入っていない店を選び、購入を試みることにしました。
エアコンを3台カゴに入れ、購入者情報、配送先、カード番号、セキュリティーコードを入力し、少々手に汗を感じつつ購入ボタンを押します。当然3Dセキュアの画面はでません。
オーソリをしていないのではないかと思うスピードで、お買い上げありがとうございましたの画面が瞬間で表示されました。リアルタイムオーソリではなく、バッチオーソリかも?明日の朝にエラーというメールがくるかも?などと思いつつ、PCを閉じます。
翌日9時を過ぎてもメールは来ず、お昼前に購入店舗から一本の電話がありました。「昨晩はエアコンのお買い上げありがとうございました。お礼の連絡と設置業者さんの有無のご確認のためにお電話しました。」ということです。
この電話はお礼と確認と表向きはうたっていますが、実際は不正利用ではないかの確認という位置付けのようです。電話に出ないや、応答内容によってお店で怪しいと判断すればキャンセルを行うフローが組み込まれていると思われます。電話があった翌日には無事にエアコン3台が家に届きました。
これはある意味不思議なことが起こったように感じます。
3Dセキュアの入っているお店ではエアコン1台の購入でさえ、オーソリの承認がおりずに買えなかったにも関わらず、3Dセキュアの入っていないお店では3台分の金額でオーソリが承認されたのです。
つまり、カード会社にとって不正リスクではなく、リスクの負担具合によってオーソリの承認をコントロールしているということになります。
カード会社の立場になれば見えてくることですが、エアコン25万円分の決済でカード会社が手にする手数料は5,000円ほど。その5,000円と引き換えに、3Dセキュアが入っているお店では、カード会社が25万円の被害を負担するリスクが生じてきます、
3Dセキュアが入っていないお店では被害は店持ちとなるのでカード会社にリスクはなく、一方でビジネスという観点でリスク許容の小さいカード会社では、3Dセキュアが入っている不正リスクの高いお店のオーソリはNGにしたほうがいいという判断もわからなくもありません。
3Dセキュア普及の一方、カード決済が不便に?
このように3Dセキュアの導入が広がるにつれ、カードのオーソリが通らなくなり購入ができないという場面が今後も増えてくると思われます。
購入者としてカードを使う側では、別のカードやカード以外の決済手段も準備をしておく必要が出てくると思われます。
また、お店としては自社の売上を減らさないように3Dセキュアを入れていても不正対策を怠らず、カード会社から不正が少ない店だと認識されるように対応する必要があります。
それに併せて、カード決済以外の決済手段の導入も検討を開始する必要がでてきそうです。
まとめ
『ASUKA+EMV3Dセキュア』の併用は、その一つの効果的な手段です。
現在の不正対策にお悩みのEC事業者様はぜひお問合せください。