UK発行のカードの不正使用による損失は、2016年に6億1,800万ポンド(約890億円)となり、2015年の5億6,750万ポンドから9%増加しました。 2008年に見られた6億990万ポンドのピークを上回りました。この調子で行くと損失額は、2018年には間違いなく日本円で1,000億円は超えてくるものと思われます。
同時に、デビットカードとクレジットカードの総支出は2016年に9,040億ポンドに達し、そのうち191億件が取引されたとのことです。
▲UKにおけるクレジットカード不正によるロス金額
参照元:Financial Fraud Action UK 2017
2008年以降減少したものの、2012年以降増加に転じているのは、グローバルで共通した動きとなっています。EC取引の増加もありますが、不正が相対的にも対面から、非対面(オンライン)に流れてきていることも原因の一つです。
主役は非対面取引(CNP)のチャージバックへ
参照元:Financial Fraud Action UK 2017
カード不正利用に関するタイプ別の興味深い資料が上図になります。
最大の特徴は、”Remote purchase”の増加とその占める割合です。2016年には、実に7割もの損害が、この”Remote purchase”による被害からとなっています。
”Remote purchase”による被害とは、非対面(ECオンライン、電話注文、郵便注文)によるもので、内容としてはいわゆるチャージバック被害になります。“CNP”や”Card Not Present”とも表現されます。
因みに、この中で”Card not received”と、”Counterfeit card”というのは聞きなれないですね。これはなんでしょうか。
”Card not received“とはその名の通り、正規のカード保有者が受け取る前に第三者に盗難されるという被害です。日本では考えにくい事象ですが、海外では存在します。ただしこれはどちらかというとカードを受け取るまでの物流インフラや仕組みの課題ともいえるでしょう。
”Counterfeit card”は、「偽造カード」の意味になります。対面取引ではICチップ化が進み、偽造カードによる不正は減少傾向です。
一方で非対面取引に不正利用者が流れていますが、これはグローバルでも全く同じトレンドであり、この流れはしばらく続くものと見られます。