コロナ禍によって普及した「置き配」
一度は皆さんも「置き配」を利用したことがあるかもしれませんが、従来の日本ではECでの商品の受け取り方法を選択できず、配達員の方から対面で受け取るのが主流でした。
一方で、アメリカではコロナ禍よりもずっと前から置き配が行われており、amazon以外のサービスでも一般的な受け取り方法として普及しています。
そこで日本での置き配の歴史を調べてみました。
1890年代後半(明治):日本において牛乳が飲まれるようになり、自宅前に毎朝牛乳を置き配するサービスが普及
1980年代〜1990年代:生協が女性の社会進出に伴ない、商品を対面で受け取ることができないというニーズに応えるために置き配を開始
2010年代後半:ネットスーパーが普及するにあたり、置き配サービスを提供
同時期:楽天、Amazonが一部で置き配サービスを展開
2020年:Amazonが置き配を標準で提供開始
同年:新型コロナ感染症対策として、ヤマト運輸・日本郵便等の配送業者が置き配への対応を開始
牛乳配達が始まった1890年から見てもかなり歴史のある置き配ではありますが、市民権を得たのはやはりコロナ禍の影響が大きいのではないでしょうか。
そこから各配送業者も対応を始め、UberEatsなどのデリバリーフードが普及したことによってその存在感は更に増したと考えられます。
日本でも一般的になってきた置き配ではありますが、それを悪用する不正利用が最近増えてきたことはご存知でしょうか?
置き配を悪用した手口とは?
まずは一般的な不正利用の手口をおさらいします。
上記が一般的な手口のフローです。
この手口においては、ダークウェブで入手したカード情報を用いてECサイトでモノを購入し、
それを受け取り転売して現金を得るという流れになっています。
それに対して以下が置き配を悪用した手口のフローになります。
一般的なフローと異なる点は、商品の配送先を不正利用者自身ではなく「第三者の住居」にしているという点です。
それによりECサイト側で行っている不正対策(不正検知システムや配送先住所による目視チェックなど)を掻い潜ることが、この手口の目的になります。
つまり善意の第三者の住居が配送先であるため、ECサイト側は疑いなく商品を発送してしまうことを狙っているのです。
しかし、それをそのまま配送してしまうと、その住所の善意の第三者の住人が受取拒否をしてしまったりして不正利用者は商品を受け取ることができないので、置き配指定で配送させるのです。
つまり、その住人がいない時間をあらかじめて調べておけば、不在時間に車等で現地に向かい置かれた商品をピックアップでき、難なく商品を受け取ることができる、という算段になります。
置き配に対応していないECサイトも狙われる!
ここまで読んでいただいたEC担当者のうち、「うちのECサイトは置き配指定ができないから大丈夫だ」と思った方もいるのではないでしょうか?
残念ながら、置き配指定に対応していないECサイトでもこのような手口での不正が発生しています…
では、置き配指定に対応していないサイトでどうやって…?
というところなのですが、非常に単純な方法です。
それは…
「東京都港区六本木1−9−9 六本木ファーストビル14F 不在時は玄関先に置いてください」
という住所を配送先に記載するのです。
コロナもありましたので、送り状にこのような住所が入っていたら、配送スタッフの方のほとんどは玄関先に荷物を置いてくれるのです。
記載方法は様々ですが、とにかく住所の後に置き配を示唆する文章を入れてきます。
もしここまで読んでいただいた方で、あまりそこを気にして目視などでチェックしていなかった場合は、すぐにでもチェックしていただければと思います。
しかも住所にこのような記載がされている注文は99%が不正利用です。(実績ベースで)
このような記載がある注文は配送停止することを推奨します。
置き配を悪用した手口を防ぐためには?
この手口においては、かなり目視チェックで引っ掛けやすい特徴がありますので、
目視チェックだけでも効果は抜群です!
しかし、そこまで目視チェックするリソースがなかったり、できるだけ不正取引はシステムでブロックしたいというケースもあるかと思います。
アクルが提供している不正検知認証システム「ASUKA」においては、今回紹介した巧妙化された手口も検知できる機能も持ち合わせていますので、ご興味がある方はぜひお問合せください。